リクオ with HOBO HOUSE BAND @下北沢ガーデン(2019.11.26)


※出演者が多いので敬称略。

 リクオ with ホーボー・ハウス・バンドのスペシャル・ライヴを、下北沢ガーデンで観た(2019年11月26日)。何がスペシャルだったのかと言えば、アルバム『グラデーション・ワールド』に参加したギタリストが全員集合。それぞれの個性を輝かすような素晴らしい演奏してみせたのだ。

 リクオが呼び込む形で順番にステージへ登場したのは、ウルフルケイスケ、古市コータロー、山口洋、そして仲井戸麗市。ホーボーハウス・バンドのギタリストといえば高木克がいるし、ペダルスティールの宮下広輔もいる。リクオのライヴでこれだけたくさんのギタリストが並ぶのは珍しい。また、ゲストの多さからリクオが定期的に主催しているイベント『ホーボー・コネクション』を思い出させた。

 こうしたコラボレーションの多いライヴで感じるのは、リクオをはじめとするホーボー・ハウス・バンドの対応スキルの高さだ。ゲストひとりひとりの個性とニーズを瞬時にくみ取った演奏ができるのは、音楽への深い理解と培ってきた経験の賜物に他ならない。

 そのことを一番感じたのは、山口洋がステージに上がった時だった。瞬間的な閃きやインプロヴィゼーションを大切にする山口の音楽性は、共演者に高いプレイヤビリティとセンスの共有が求められる。そのため、ある種の緊張感を強いる側面もあるが、うまく調和した時に生まれる可能性は無限だ。この夜も交わされた音の粒が宙を舞い、美しい広がりを見せてくれた。特にリクオとの掛け合いは、ふたりの長いつきあいを彷彿させる奥深いものだった。

 しかし、仲井戸麗市が登場すると事態は一変する。みんなが子供に戻るというか、チャボ先輩にいいところを見せようと躍起になるのか、誰もがなりふり構わず全力で演奏し始めるのだ。アクセル全開。バッテリーはビンビン。大きなリスペクトと愛情のこもった熱くて切ない音楽が目の前で展開されていく。これは一体どうなっているのだろう?もはやチャボの人間力の大きさとしか言いようがない。

 個人的なハイライトは、そのチャボが日本語の歌詞をつけて歌ったトム・ウェイツのカヴァー「オール’55」だった。あの頃の日々という場所。時の流れが早すぎるから、今夜はゆっくり走らそうか。チャボはこの歌詞を、亡くなった戦友たちに向けて書いたという。

 思えば、この夜のステージにいたミュージシャン達もまた、お互いが戦友のようなものなのかもしれない。栄枯盛衰の激しいロックンロールの世界で、浮いたり沈んだりしながらしぶとく生き抜いてきた同志なのだと思う。その頂点にチャボがいる。今となっては、きっとそうなのだろう。

 時間と共にすべてが変わっていく。歳を重ねれば、音楽の聴こえ方も違ってくる。でも、積み重ねてきたものは嘘をつかない。結局、ごまかせないのだ。それならば、自分を信じて生き抜いていこう。この夜、ステージの向こうから僕が受け取ったものは、そんなシンプルで小さな真実だったのかもしれない。
 

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